【AJ Spotlight】地域と文化をつなぐ、金沢・銭湯「松の湯」復活プロジェクト
株式会社エイジェーインターブリッジは、「日本文化の素晴らしさを世界へ。そして世界中でその架け橋に。」という理念のもと、「泊まる」「遊ぶ」「食べる」の3つの体験を軸に、さまざまな文化継承プロジェクトを推進しています。
その取り組みの一つとして、2022年11月、金沢市で惜しまれながら閉業した老舗銭湯「松の湯」の復活プロジェクトを実現いたしました。
地域に愛された銭湯「松の湯」の再生
1948年に開業し、70年以上にわたって地域の方々に親しまれてきた「松の湯」は、2020年に一度その歴史に幕を下ろしました。当社はこの銭湯を「日本文化そのもの」と捉え、ただのテナントビルとする再利用ではなく、本来の“銭湯としての再生”にこだわりました。金沢をはじめ、日本各地の銭湯で後継者不足により、その数が年々減少しているという現状を前に、当社はこの流れを打開すべく、「松の湯」の再生に取り組みました。
民間企業が営利目的で行う銭湯事業とは異なり、公共性の高い「普通公衆浴場」を運営するためには、行政からの営業許可が不可欠です。しかし、廃業した銭湯の再開は前例がなく、当初は許可取得に大きな壁が立ちはだかりました。容易なテナント活用ではなく、「石川県発祥の“銭湯文化”を後世に繋ぐ」という信念のもと、地元の皆さまや関係者の助力を得ながら奔走し、4か月以上の交渉の末、行政の許可を取得。ついに「松の湯」は正式な銭湯として復活を遂げました。
地域文化との共創:九谷焼タイルの銭湯絵
「松の湯」の再生において、私たちが大切にしたのは“地域との共創”です。銭湯の象徴とも言える浴場の壁画には、石川県が誇る伝統工芸「九谷焼」を取り入れることにこだわり、オリジナルタイルを製作。クラウドファンディングを通じて全国から多くのご支援をいただき、地元の九谷焼の職人の皆さまとのコラボレーションにより、唯一無二の「九谷焼タイルの銭湯絵」が誕生しました。「松の湯」は、その土地の伝統文化が持つ魅力を伝える場づくりを通して、文化と人が交差し、後世へ継承されていく新たな価値を生み出しています。
環境に配慮した“薪炊き”へのこだわり
当社では環境への配慮も重要なテーマとしています。「松の湯」では、お湯を沸かす燃料として、昔ながらの“薪”を選択。薪は廃材や端材を活用しており、重油に比べてCO₂排出を抑えることができます。毎日、薪をくべながら手間暇をかけて丁寧に火加減を管理する薪炊き風呂は、訪れる方々にどこか懐かしく心地よい体験を提供しています。
現在の「松の湯」:文化を体験する交流の場へ
復活から2年半を経た現在、「松の湯」は地域の皆さまだけに留まらず、多くの国内外観光客にも親しまれる憩いの場となっています。
最近では海外からの問い合わせも増えており、日本文化に深く触れたい外国人観光客にとっても、気兼ねなく体験できる開かれた場所となっています。
エイジェーインターブリッジは、これからも地域に根付いた歴史文化と人をつなぐ“架け橋”として、伝統と現代のライフスタイルを巧みに融合した取り組みを継続してまいります。金沢の歴史に新たな息吹を吹き込んだ「松の湯」は、日本文化を未来へ継承する銭湯として、これからも多くの方々に愛され続ける場を目指します。